① まずは、治療に先だってお願いしたいことは、
「炎症など、器質的な声がれの場合は声帯に負荷がかかっている状態なので、できるだけ声を出すのを控えてください。」
声を出すことは基本的に、左右2枚の声帯をぶつけ合い、こすり合わせることになります。
したがって、結果的に発声を控えていただいたほうが治りが早くなります。
サッカー選手が捻挫などの怪我をしていれば試合に出るのを控えるのと同じで、できるだけなるべく声の酷使を控え安静を保ってください。
タバコも同様に治る確率を上げるためにも控えていただく必要があります。
② その上で、治療としては、原因の改善と声帯の炎症の除去が最優先となります。
大きな原因の1つは副鼻腔炎です。
副鼻腔炎などが原因となって後鼻漏により鼻水が声帯に絡んで声帯に負担がかかったり、痰(たん)切りによって声帯に一層の負担がかかるので、
まずは後鼻漏の改善(副鼻腔炎の治療)が大切です。
当院の治療が好成績を収めているのは、上記のような声がれの背景となる部分にまでフォーカスをあてて治療しているからだと思います。
通常、声帯にとっては唾液が潤滑油の役目をはたしていますが、副鼻腔炎等の場合には粘稠な痰(後鼻漏)が声帯にまといつき、
それが声帯の運動を邪魔することにより声帯の負担となります。その状態で無理をして声を出し続けると声がれが悪化します。
当院では、副鼻腔炎の合併が認められた場合には、副鼻腔炎の状態の改善を図るとともに、
そこから出る粘液の粘りを取るお薬を処方することにより、結果的に声帯の負担を軽くし、その動きが滑らかになるように治療します。
また、声帯の炎症を取るためのお薬(ステロイド剤を含む)を内服していただくとともに、炎症を抑える吸入薬を併用することにより治療効果を上げています。